2020年7月10日

【共同研究3-2】「要介護になっても暮らし続けられるバリアフリー改修マニュアル作り」グループ

                            

【共同研究3-2】「要介護になっても暮らし続けられるバリアフリー改修マニュアル作り」グループ

 G3─2 は、介護保険改修20 万円で、本人や家族全体の生活の様態に応じ、効果的な改修ができるようにマニュアルを作成することを目的とした。マニュアルを用いることで、ユーザーや専門職が住まいの課題を容易に把握し、適切な改修をスムーズに行うことで、心身機能が変化しても住み慣れた自宅で生活を維持・継続することを目指した。
 2017 年度に新規に設けられた本グループは3 年目を迎えた。今年度も昨年度同様、フィールドワークを中心に、まず、建築士やケアマネジャーへのインタビューを行い、企業者や専門職が実際に住宅改修をする際に感じている課題を把握した。
 調査は、要介護認定が最も多い脳血管疾患の方を対象とすることにした。そこで、日本脳卒中協会に依頼状を送り、調査対象者の照会をお願いした。そして、住宅改修をした片麻痺の方の自宅を訪問し、住宅改修の状況や生活の状況の聞き取りをし、高齢期の生活における住まいの課題を把握すると共に、その解決策と
して住宅改修がどのように実施されているのかを把握した。これらの調査で明らかにした住宅改修のポイントを整理したシートを作成。このシートを基に、住宅改修経験がある建築士やケアマネジャーにシミュレーションをしてもらい、シートの評価を行った。
 3 年間の研究を振り返ると、1 年目は、住宅改修に関する東京都の取り組みの実態を把握するため、都内62 自治体を対象にアンケート調査を行い、改修に関する研修を行っているのは1 自治体であることを明らかにした。2 年目は、この自治体が実施しているケアマネと施工業者を対象とした研修会に参加し、各専門職が住宅改修を実施する際に抱えている課題を把握した。さらに、国際福祉機器展に行き、出展している企業(25 社)を対象にインタビューを行い、住宅改修への企業の取り組みを把握した。そして、2 年目~3 年目は、自宅訪問調査を中心に当事者や家族のインタビューを行い、生活実態を把握した。これらの研究成果を積極的に国際学会に発表することを試みている。
 G3─2 は共同研究を通して、テーマに沿って、ケアマネ、施工業者や建築士、企業や当事者と家族へのインタビューを行うことで、住宅改修に関わる様々な専門職や当事者の視点を学び、多角的な視点で住宅改修の実態と課題を捉えることを試みた。また月に2 回~4 回の定期的なミーティングでは、マニュアルづくりに
向けた手法等に関し、多分野のメンバーが積極的に意見交換することで、分野の違いを理解する機会ともなった。さらに、社会的背景を踏まえて研究テーマを絞り込み、そのテーマに沿ったフィールドを開拓することで、G3─2 のテーマに限らず、今後の社会的課題を解決するための研究を切り開く力を身につけることを心
がけた研究活動を行った。
(特任助教・西野亜希子)
建築士に作成したシートの評価を受けているところ

建築士に作成したシートの評価を受けているところ