2019年9月10日

【共同研究7】「在宅高齢者のためのIoT活用による自立支援」グループ

                            

【共同研究7】「在宅高齢者のためのIoT活用による自立支援」グループ

 超高齢社会において、さまざまな情報技術を活用して安心・安全な社会形成が期待されている。一方で、 AIスピーカやIoT(Internet of Things)の普及により、一般家庭におけるインターネットを通した情報通信のあり方が急速に変化している。本グループは、「高齢者支援技術のデザイン指針や導入方策を導くためのニーズ・現状調査」をテーマとして昨年度活動していたため、本年度は支援技術としての要素技術の一つとしてIoTが利活用できないか検討を行い、ニーズ・現状調査を実施することとした。
 昨年度までは、高齢者やその支援者における「困りごと」にフォーカスしたニーズ調査や、介護施設などにおける支援技術の受容性についての現状調査を行ってきた。調査結果からは、「困りごと」に対してニーズを満たすだけでは支援機器の普及は難しく、先進的な技術を導入するにあたっては高齢者自身が示す技術に対する受容性だけではなく周囲との関係性も影響していることがわかった。これらを踏まえ、本年度は支援技術を絞りみ、より詳しく「困りごと」や受容性に関する調査を実施することとした。調査方法は、高齢者が自由に意見やアイデアを出せるようにワークショップを用いた。ワークショップは内容を変えつつ合計3 回実施した。
 1回目のワークショップは、共同研究4/5/6グループが主体的に活動している千葉県柏市豊四季台地区にある「地域活動館(仮称)」で実施した。このワークショップでは部屋の間取りを用いて、帰宅後の生活パタンから「困りごと」が発生する場所と順番などを明らかにした。2回目のワークショップは文京区の高齢者を対象としたワークショップを東京大学で実施した。「困りごと」だけでなく「できたらいいな」なニーズを新技術への理解と触れあいから引き出せないか調査し、IoTの機能をカードとして表現したワークショップを考案した。3回目のワークショップは千葉県柏市布施新町にある「布施新町ふるさとセンター」で実施した。3回目となるワークショップでは、考案したIoTの機能カードを用いて「できたらいいな」を引き出す目的で調査を実施し、IoTを用いた100以上のアイデアを得ることができ、また、その場で高齢者自身に簡単なIoTシステムを組んで貰う事ができた。本調査を通じて、IoTを利活用して解決できるニーズがあり、また高齢者自身がIoTを用いた簡単な解決方法を実現させることができることがわかった。
(特任研究員・伊藤研一郎)