2019年9月10日
ケア・システム実習型フィールド演習:対人ケア実習リポート
<2018.11~2019.2 ケア・システム実習型フィールド演習:対人ケア実習リポート> |
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実践的課題解決能力を養うために、医療や介護を必要とする高齢者の生活実態や、高齢者の生活を支える医療・介護・看護の実際を把握するため、生活支援や介護サービス施設の見学、訪問診療・訪問看護に同行する実習型のフィールド演習を行った。 実習前、他分野の学生でチームとなり、各自で参加目標を立案し、その目標をチームメンバー間で共有した。実習では、介護サービスを利用する高齢者に触れ、当事者の思いを捉えた。また、高齢者の地域生活を支える介護・訪問看護・訪問診療の機能を理解し、具体的な課題やその解決策を探索し、自らの専門分野で期待される役割を考えた。 スケジュールは、下記のとおりであった(介護は全コース生参加。訪問診療と訪問看護は希望者のみ)。 〈目標〉 ・介護サービスを利用する高齢者と話をして、当事者の思いを捉える。 ・参加目標を立案し、その目標をチームメンバー間で共有する。 ・多専攻で構成したチームメンバー間で協力して、自らの専攻の役割を発揮し、実習(事前学習とレポート作成も含む)に取り組む。 |
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実習先と日程 | ||||||||||||||||||||
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〈コース生の感想〉
原薗陛正(新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 修士2年) |
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訪問診療に同行し、どのような診療が行われるかを見学させていただきました。様々な家族構成・身体状況の患者様への診察を見学させていただき、若年層と比較して高齢者の身体状況や周囲の環境は大きく異なることを実感しました。また、実習に参加する前は、病院での医療行為の延長上に在宅診療があると考えていました。しかし、医療行為の目標として、病気の原因を除去し以前の身体状況を取り戻す “闘う医療” と、病気による苦しみを緩和し病気と上手く付き合っていく “病気と付き合う医療” の2種類があることに気づかされました。 実習参加の目標として、自身の基礎研究がどう応用されるかを見てこようと考えていましたが、結果として病気と付き合う医療という全く別の視点に触れることができました。当初想定していた学びとは異なる成果ではありましたが、自分が深掘りしている領域とは異なるものを学ぶことができ、GLAFSの掲げるT字型人材で言うところの横の視野・知見を得られました。 | ||||||||||||||||||||
舩城桐子(新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 博士1年) |
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今回、医療機関外の国内初のがん患者のための相談施設が、がん患者さん、がん患者家族をどのように支えているのか学ぶべく実習に参加させていただきました。印象的であったのは、ヒューマンサポーティブケアの方法とケアを支える空間の創出に力を入れていることです。サポーティブケアとはあくまでも「自分の力を取り戻す」ためのものであり、何かを強要するのではなく、看護師や心理士さん達プロによって、自己決定を後押しする安心感が提供されることに重きを置いているように感じました。またそのために、プライベートを適度に保つ仕切りや窓の高さの設定、温もりを感じさせる木目調の家具などを用いるなど、話しやすくなる空間の提供(建築)に力を入れていることが他の施設と異なりました。相談者の本来のニーズを聞き出すためには、人と建築の両要素が必要であり、今後医療・介護現場などにおいて広く導入されていくべき要素であると感じました。 |