本研究は転倒により大腿骨を骨折・緊急入院した高齢者を対象として入院中にインタビュー調査を実施し、どこで、何をしようとして、どのように転倒したかを明らかにすることを目的としている。2018年度は11 例の病院調査事例が得られた。2016年度からの事例を合わせると43例の調査が行われた。転倒場所は自宅内が18例で最も多く、次いで自宅敷地外の15例、施設内の9例、自宅敷地内の1例となっていた。34例が女性で、12例がトイレ往復時の転倒であった。特に自宅での転倒の場合、18件中9件がトイレとの移動動作で起きていた。その結果、調査した中で自宅の住戸内の転倒が最も多いこと、自宅内ではトイレへの往復時に半数が転倒していることが判明した。転倒の仕方では「ふらつき」が43件中17件を占めた。また、全ての転倒の仕方にトイレ関連の転倒が含まれていた。
さらに、自宅訪問調査の同意が得られた患者を対象に、2018年度は15例の調査を行い、転倒場所の確認やその後の住環境の変化に関して追跡した。15例の内、11例が自宅訪問調査、4例が病院におけるインタビューであった。その結果、転倒後に自宅改修を行なっていた事例が7例得られたとともに、全事例で転倒・大腿骨骨折後の生活変化等を把握することができた。これらの研究結果をまとめて10月に日本転倒予防学会@浜松(口述発表:1件、ポスター発表:1件)で発表した。また、国際会議(査読あり)での発表を2回、学術論文(査読あり)を2編発表した。 |