2019年9月10日

【共同研究1】「高齢者に対する就労支援の在り方について」グループ

                            

【共同研究1】「高齢者に対する就労支援の在り方について」グループ

 近年、人口減少社会を迎え、働く意欲と能力のある高齢者が、その能力を発揮して、希望すればいくつになっても働くことができるような環境整備(制度・政策、企業環境等)が求められている。日本では、定年後から年金受給開始年齢までの空白(無収入)を埋めるために、再雇用(継続雇用)制度を実施する等、法律の制・改正を通じて高齢になっても働ける機会の提供に取り組んできた。その結果、主要国における高齢者の就業率は最も高い水準にある。しかし、実際に働くことになった高齢者が、どうすれば働きやすいと感じられるか、職場環境(ハード面とソフト面)をどう整備すれば長く、快適に働くことができるかといった、特に職場環境に特化した点はあまり議論されていない。過去には、障害者雇用促進法の制定をきっかけに、障害者でも働きやすい職場環境についての研究や議論は盛んに行われてきた経緯がある。高齢者についても、高齢者でも働きやすい職場環境(これを我々は「Age-Friendly Workplace」(AFW)と呼んでいる)について議論すべき時期に来ている。
 そこで、本研究では、高齢者雇用に関して先駆的な企業への調査を通じて、AFWの実現に向けて必要な要素を多角的に明らかにすることを研究目的とし、研究を進めてきた。主な活動内容として、7月まではジェロネットSIG008会合への参加や文献調査、モデル企業を選定する作業を行った。8月には、福岡県70歳現役応援センターを訪問し、センター長、企業側担当者、高齢者側の担当者、センターを利用したことのある高齢者へのインタビュー調査を行った。また、高齢者雇用に積極的に取り組んでいる企業(2社)を訪問し、人事担当者と高齢被雇用者に対するインタビュー調査を行った。9月からは、これらのインタビュー調査の分析結果をハード面とソフト面に分けて整理し、その分析結果を、International Joint seminar「 Everyday activities and the health of the urban elderly」(2018年10月31日、タイトル「Working towards an age-friendly workplace: from interviews with the elderly and their supervisors」)とGLAFS の国内シンポジウム(2019年3月)等で発表した。今後は、より多くの企業を訪問し、インタビュー調査を行うとともに、「全国高齢者パネル調査」データの2次分析をも進めていく予定である。
(特任助教・朴孝淑)