2017年8月25日

2017 GLAFS合宿リポート

<2017 GLAFS合宿リポート>

camp01
8月1日~2日、GLAFS夏期合宿がKKR熱海で開催されました。
今回の合宿の特別テーマは、「2030年 超高齢社会における持続可能な開発をバックキャスティングで考える──SDGs(*後述)×超高齢社会=革新的な取り組み・政策・技術を提案する──」。この共通テーマについて、2日間にわたって全員参加型のワールドカフェや、ワークショップ等を行いました。
ゲストにお招きしたのは、日本NPOセンターSDGs事業プロデューサーの新田英理子先生で、日本の超高齢社会においてSDGsの観点から取り組むべき課題やビジョンは何か、国際的な視点、また国内で何を進めればよいか等をお話しいただきました。この後に行われたワールドカフェでは、新田先生の投げかけを受け、“SDGsのフレームをもとに取り組むべき課題”、“自らが貢献できること”等を各自発表。その上で「理想とする持続可能な開発を実現する企画検討」を行うグループワークの時間も設けられました。グループワーク終了後に発表された各班のアイディアは、同日夜に開かれたナイトセッションの際に投票があり、得票上位の班の代表者4名が翌日のパネルディスカッションの壇上に上がりました。
GLAFSも4年目に入り、参加者は、コース生56名、教員・スタッフ34名の計90名の大所帯となりましたが、従来通り個別研究指導や共同研究発表も行われ、たいへん充実した合宿となりました。特別テーマの「ねらい」と「到達目標」は次の通りです。
【ねらい】

  • 国際的なSDGsを題材にして、超高齢社会における持続可能な開発のあり方について考える。

超高齢社会にSDGsの考え方を統合することで、わが国の持続可能性に影響を与える課題(健康長寿、経済成長、ジェンダー、社会参加等)を解決しつつ、その過程で重要な革新的取組みを生み出し(例:AI・アシスティブテクノロジーによるケアの近代化、高齢者の閉じこもり予防等)、これを世界的な(特に途上国の)不平等の解決へと結びつける。

  • 学生同士、またプログラム教員と共通のテーマについて話し合うことによって、他分野のアプローチを学ぶ。
  • 集団的政策形成技法を学ぶ。

意見交換・ブレストを目的としたワールドカフェ(検討系-発散型)及び具体的方策を検討するKJ法型ワークショップ(議論系―収束型)をもとに、GLAFSとしてSDGsにどのように取り組むか、パネルディスカッション(決定系)を通して検討する。

ワールドカフェや、KJ法、バックキャスティング検討法など小グループの発想を全体で共有し、新たな知識を創造する手法を学ぶ。

【到達目標】
GLAFSとして目指す持続可能な超高齢社会のビジョン、長期的に取り組むべきこと、短期的に取り組むべきことについて検討する。*SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2015年に国連総会で採択された「持続可能な開発目標」のこと。17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)で構成されている。詳しくはこちらから。

合宿スケジュール1日目

12:30 集合
12:30-12:40 開会の辞 全体スケジュール説明
12:40-13:20 ゲスト講話:新田栄理子先生(日本NPOセンター)
「SDGsから持続可能な超高齢社会のあり方について考える」
13:20-14:15 「超高齢社会領域におけるSDGsについて考えるワールドカフェ」
14:25-14:30 休憩
14:30-14:45 「持続可能な開発のビジョンと取り組むべき課題・活用すべき資源を決める」
14:45-15:25 「理想とする持続可能な開発を実現する企画検討」
15:25-15:50 全体共有・講師のコメント
15:50-16:00 休憩
16:00-17:10 共同研究発表 G7 G3
17:10-17:25 休憩
17:25-18:45 研究進捗状況報告会 その1
18:45-19:00 休憩
19:00-20:30 夕食
20:30-22:00 ナイトセッション
camp02
プログラム・コーディネーター、大方潤一郎教授の「開会の辞」の後、「SDGsから持続可能な超高齢社会のあり方について考える」という演題でお話しいただいた日本NPOセンターの新田栄理子先生。
camp03

camp04 camp05

camp06 camp07

「超高齢社会領域におけるSDGsについて考えるワールドカフェ」の様子。4人1グループで、「超高齢社会の持続可能性」をテーマに、アイディア出しを行いました。メンバーを入れ替え、3ラウンド行われました。
camp08_ex
次に、グループワークでは、持続可能な開発のためのビジョンや、取り組むべき課題について、意見を集約し、班ごとに「理想とする持続可能な開発を実現する企画検討」を行いました。その後、各班のアイディアを発表しました。
camp09_ex

camp10_ex  camp11_ex

camp18_ex  camp12_ex

1日目の共同研究発表はG7とG3の2グループ。多くの先生方から貴重なご意見・アドバイスをいただきました。写真上はG3の発表風景。コメントをいただいた医学系研究科の森武俊特任教授(中左)、秋下雅弘教授(中右)、神馬征峰教授(下右)と人文科学系研究科の武川正吾教授(下左)。
camp13 camp14
休憩を挟んで5部屋に分かれて行われた研究進捗状況報告会では、内外のプログラム担当の先生方から丁寧なご指導をいただきました。
camp15_ex
夕食後に開催されたナイトセッション。壁に貼り出されているのは、グループワークでまとめた企画内容。この会場で投票が行われました。

 

合宿スケジュール2日目

7:15-9:00 朝食
9:00-10:00 パネルディスカッション「GLAFSとして取り組むSDGs×超高齢社会」
10:00-10:20 休憩
10:20-12:00 研究進捗状況報告会 その2
12:00-13:00 昼食
13:00-14:20 研究進捗状況報告会 その3
14:20-14:30 休憩
14:30-15:40 共同研究発表 G4/5/6 G1/2
15:40-16:00 共同研究全体に関するディスカッション
総括
16:00 解散
camp16_ex
合宿2日目は、前日の投票で高得点を得た4班の代表者と先生方によるシンポジウムから始まりました。テーマは「GLAFSとして取り組むSDGs×超高齢社会」。昨日のグループワークの成果を下敷きに、院生から、「趣味を生涯続けられる社会の実現」、「若者が夢を追うことができる社会へ」、「義務教育の低年齢化」等、各グループのアイディアが発表されました。これを受けて、先生方も交えたクロストークが行われ、GLAFSとして今後取り組むべきことが話し合われました。GLAFSの持つ総合性を活かし、子どもや障がい者、貧困の問題にも視野を広げていくこと、各地域単位でのSDGsの実現に向けて多世代のコミュニケーションを図ること、ジェロントロジーの考え方をさらに社会に広めていくこと等が提起されました。院生からは、SDGsという共通目標を通して、他の分野とつながり、自分の研究の立ち位置が見えてきた、という感想がありました。
camp17 camp19
2日目の研究進捗状況報告は4部屋に分かれ、35名のコース生が発表をしました。
camp20
大会議室に再び集合してG4/5/6とG1/2の共同研究発表がありました。写真は工学系研究科・原田昇教授のコメントを聴くG4/5/6のメンバー。
camp21 合宿の最後は、プログラム・オフィサーである京都大学の熊田孝恒教授からご講評をいただきました。
futter_students