2015年5月25日

第1回イブニングセミナー・リポート

<第1回イブニングセミナー・リポート>

助教・研究員を中心とした若手研究者の最先端の研究や取り組みの成果の報告、及びそれらを共有する場として、今年度から「イブニングセミナー」がスタート。5月25日にその第1回目が開催されました。
この日のテーマは、後藤特任講師、堤特任助教(共に都市工学出身)、福井特任助教(社会学出身)らによる「高齢社会にコミュニティは必要か?」。2000年頃の地方分権、市町村合併、自治意識の高まりなどを背景として、行政は、住民自治組織にたいして地域課題の解決を期待するようになりましたが、この地域住民自治型まちづくり制度を通して、超高齢社会におけるコミュニティの役割と意義について再検討しようというもの。
冒頭で「現代的なコミュニティ・デザイン論」誕生の背景を後藤純特任講師が解説した後、兵庫県丹波市、岩手県花巻市、三重県伊賀市など、具体的な事例を堤可奈子特任助教が報告。その後、福井康貴特任助教により社会学の立場から、「コミュニティは必要か?」「地域課題は誰の課題か? 個別利益の追求にならないか」など、問題提起がなされました。コミュニティとは都市工学者の見果てぬ夢ではないかとの指摘もあり、時間が経つのも忘れるほど、熱のこもったディスカッションが行われました。
参加していた古賀正明特任研究員(茅ヶ崎市役所から出向)は、「行政は、政策的な面やコスト削減の面など、地域に予算を配分し、それぞれに課題解決を委ねることでメリットを享受することができるが、場合によっては地域における行政の存在意義が希薄になり(行政はそれを望んでいるかもしれないが)、また、地域力に大きな差ができてしまうことは否定できない」「地域住民自治型まちづくり制度は、行政から地域への丸投げではなく、行政側がより一層、地域課題やニーズに理解を深め、行政・住民の双方の連携を十分に行うことができて初めて機能し、よりよいまちづくりやコミュニティ形成ができるのではないかと感じた」と、自治体の立場から感想を寄せてくださいました。
es20150518 奥壁側左から後藤特任講師、福井特任助教、堤特任助教
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