2018年5月25日
ケア・システム実習型フィールド演習:対人ケア実習リポート
<2017.11~2018.1 ケア・システム実習型フィールド演習:対人ケア実習リポート> |
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実践的課題解決能力を養うために、医療や介護を必要とする高齢者の生活実態や、高齢者の生活を支える医療・介護・看護の実際を把握するため、生活支援や介護サービス施設の見学、訪問診療・訪問看護に同行する実習型のフィールド演習を行った。 実習前、他分野の学生でチームとなり、各自で参加目標を立案し、その目標をチームメンバー間で共有した。実習では、介護サービスを利用する高齢者に触れ、当事者の思いを捉えた。また、高齢者の地域生活を支える介護・訪問看護・訪問診療の機能を理解し、具体的な課題やその解決策を探索し、自らの専門分野で期待される役割を考えた。 スケジュールは、下記のとおりであった(介護は全コース生参加。訪問診療と訪問看護は希望者のみ)。 |
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実習先と日程 | |||||||||||||||||||||||||
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〈コース生の感想〉
吉崎れいな(工学系研究科機械工学専攻 修士2年) |
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介護施設では、高齢者の支援機器の活用について見学させていただきました。今回、特に印象深かったのは、施設の方のアシストスーツに対する感想でした。導入されたアシストスーツは呼気によって制御を行う仕組みでしたが,これを使う場面では対象への声かけが必要なので、使えないとのこと。こういった開発者側と介護側との齟齬は,開発者側が介護の現場に入り込めていないことが問題で、今後は相互に広く発信しあえる場が必要であると痛感しました。 訪問看護・看護小規模多機能居宅介護の実習には,在宅高齢者の生活に訪問看護がどういった役割を果たしているか、またその限界とは何かを調査する姿勢で臨みました。実際、高齢者宅にお邪魔して、訪問看護の様子を見学してみると、訪問看護,往診,訪問介護など、それぞれ得意分野と役割があることが大変よく理解できました。特に、訪問看護は医療の助けが必要な方に対して、その人らしい生活が送れるように様々な工夫がなされていることが分かりました。 |
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小川景司(農学生命科学研究科農業・資源経済学専攻 修士1年) |
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近年、障害者の就労支援として福祉と農業の連携が進んでいます。そこで、農作業をケアの一環と捉え、介護現場に農業を組み込む可能性についても検討してみたいと考えました。その可能性を探る端緒として、小規模多機能型居宅介護施設の経営実態の把握を目的として、実習に参加しました。 丸一日対応して頂いた施設の理事長からは、施設の設立経緯から、利用者・雇用者の人数、収益性まで具体的な数字を教えて頂きました。さらに、質の高いケアサービスの提供(経営目的)のために、インフォールマルなネットワークを積極的に活用(経営戦略)することで、より利便性の高い施設の移転先の確保、町内会からの協力などを得て、質の高いケアを実現するという、経営成果に結びつくまでの一連のマネジメントプロセスを把握することができました。地域との良好な関係づくりを通して、新たな経営資源を獲得し、経営成果へと繋げるプロセスは、優秀な農業経営において観察されるものであり、1つの経営として、非常に参考になるケースであると感じました。施設の立地場所の制約から、農業との連携についてはほとんど触れられなかったものの、制度に経営規模や事業内容の多くを規定される介護ケア施設においても、経営的な視点・工夫が重要であることがよくわかりました。 |