2018年5月25日

【共同研究7「高齢者⽀援技術のデザイン指針や導⼊方策を導くためのニーズ・現状調査」グループ】

                            

【共同研究7「高齢者⽀援技術のデザイン指針や導⼊方策を導くためのニーズ・現状調査」グループ】

少子高齢化社会の進展に伴い、生産年齢人口の減少を補うべく、様々なICT/IoTによる自動化の必要性が増している。特に、高齢者の自立支援・介護支援は、各種システム化による需要が見込まれており、システムの研究開発・商業化展開が急激に進展している。
これまで、我々GLAFS共同研究グループ7では、まずは将来的な普及が見込まれるロボットに関して、外観の好ましさ・直観的な操作性などの重要性などを示した。また、高齢者やその支援者における困り事として、排泄や入浴の介助の他、夜間などの見守り支援などのセンシングに関するニーズを抽出してきた。しかし、これらのニーズにも関わらず、高齢者個々人へのシステムは広まっているとは言い難い。これは、高齢者にとっての受容しやすさについての検討が不足しているためだと我々は考えた。そこで、本年度はセンシング技術が個々人宅に受容されるための要件を探るべく、実際にセンシング技術が導入されていた介護施設での導入がどのように行われたのかを明らかにすることを目的とした。
本検討では先進的介護施設への見学・インタビュー調査を行った。まずは、居室見守りシステム・壁収納型リフトを導入した介護施設で調査を実施した。この結果、見守り結果から排泄QOLや生活リズムの把握に繋がった他、想定しなかった入居者の身体機能の確認などが出来たとの事だった。従来、センサ導入効果はプライバシーと安全のトレードオフで語られていたが、むしろ潜在的な能力の確認などに繋がり、プライバシー侵害の原因となった直接接触の頻度が下がり、結果として入居者のプライベート時間が増加するという現象が確認できた。また、マット型センサを導入した施設においても同様の調査を行った。こちらでは、直接の見守りを減らすことが出来た一方で、入居者によっては訪問がなくなる事を寂しく思うケースがあった。以上から、技術受容のためには利用者の属性の考慮、顕在的機能のみならず、潜在的機能の考慮、利用者とその周囲との関係性の考慮が必要であるとわかった。
(特任助教・三浦貴大)