2016年5月30日

第2回 イブニングセミナー・リポート

<第2回 イブニングセミナー・リポート>

5月30日18時~20時、第2回イブニングセミナーが本郷工学部8号館702号室(ライブラリ)で開かれました。今回は飯島勝矢准教授(高齢社会総合研究機構)による「柏市における大規模高齢者縦断追跡健康調査(柏スタディー)から見えてきた我が国のフレイル予防戦略」(フレイル=frailty:虚弱)。柏スタディの知見をもとに考案された「フレイル予防プログラム」を国民運動として全国へ普及させるための課題と具体的な取り組みをお話しいただきました。
後半は高橋競特任研究員(高齢社会総合研究機構)が、柏市などで実際に使われている「フレイルチェック」を紹介。出席者は自らのフレイル度を測るチェック・リスト(イレブン・チェック)や指輪っかテスト、そして滑舌を測定する「パタカ・テスト」等を体験しました。
セミナーに参加した藤﨑万裕特任助教からは、「飯島先生ご自身の研究姿勢の根底にある『学術研究の結果は、十分に社会に還元されていない』という問題意識に共感した。飯島先生をはじめとするフレイル研究チームが、これまで千葉県柏市で行ってきた大規模疫学調査からフレイル予防への認識や活動を促すのに必要なエビデンスが創出されつつある。これまでの研究者であれば、仕事はここまで!といって切り上げる。しかし、飯島先生の研究チームは違う。BMIやメタボのように国民に広く「フレイル」という言葉を根付かせること、地域の住民がフレイル予防サポーターとして地域のフレイル予防に参画できる取り組みを進めていること、さらに国民一人一人が個々人に適したやり方でフレイル予防に楽しく継続性を持って、かつ自然と参加する仕掛けを産官学民で作っていくことを計画的かつ戦略的に進めていることを知り、大変勉強になった。改めて、学術研究の意義や大切さを教えてもらえた気がした」との感想が。飯島勝矢准教授からは「フレイル予防はまさに『総合知によるまちづくり』そのものである。大きな国民運動につなげるためには、しっかりとした仮説および精緻なデータ情報収集からの学術研究が必要であり、そこには情熱と期待も必要である」といったコメントがありました。

ev20160530_1 右端:飯島勝矢准教授
ev20160530_2 パタカ・テストで滑舌を調べる高橋競特任研究員(右)
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