2018年11月14日

GSA2018リポート

<GSA2018リポート>

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アメリカ・ボストンで開催されたGSA(The Gerontological Society of America:アメリカ老年学会)Annual Scientific Meetingに、今年もGLAFSから多くの学生が研究発表や情報収集、交換のために参加しました。GLAFSの共同研究グループからは、2017年度G1&2「要介護高齢者の居住地選択を規定する要因の検討」が2演題ポスター発表をしました(筆頭発表者・角川由香さん、須沢栞さん)。また、駒沢行賓さん、Rogie Royce Carandangさん、馬場絢子さんの3名が、自身の博士論文や修士論文の一部のポスター発表を行いました。

参加したコース生の感想

角川由香(医学系研究科健康科学・看護学専攻 博士2年)

今年のGSAは、“The Purposes of Longer Lives ”をテーマに掲げ、全世界の高齢者のQuality of lifeを改善するために、医学、看護学、社会科学、心理学、経済学など様々な領域から最新のアプローチを共有することを目的として開催されました。朝8時~夜8時と、1日12時間も続けて開催されるGSAのパワーを感じるとともに、Agingはそれほどの時間をかけても行うべき重要な課題なのだと改めて認識しました。私は2017年度共同研究グループG1-2で実施した、グループホームへ入所する際の意思決定に関するケーススタディをポスター報告してきました。発表の際、「介護保険に関して興味を抱き自国の参考にしたい」、「分野横断的に研究を実施している視点が面白い」とのコメントをいただいたことが、とても印象に残っています。ポスター発表の会場は、連日300-400本近くの演題がホールに一斉に並び、見て回るだけで2時間以上はかかります。各所で活発な意見交換がなされていたほか、夕方のポスターセッションでは、無料の軽食やバーカウンター(こちらは有料)もあり、食べたり飲んだりしながらお互いの研究について気軽に意見を交わし合う場面がたくさんありました。互いの研究のよいところを見つけ、さらに「私が知っている研究では、このようなmethodを使っていたよ」「あっちにあったポスターがあなたのフォーカスと似ていたよ」「アメリカの現状は〜だけど、日本はどう?」など、情報”交換”がさかんに行われていました、オーラルセッションやシンポジウムでも、多くの会場で立ち見が出るような状況で大きな賑わいを見せていました。今回のテーマにも通じますが、高齢先進国で学ぶ学生として、単に長寿を願うだけでなく、いかに生きるか、ということに貢献できるような研究を続けていきたいと思いました。

須沢栞(工学系研究科建築学専攻 博士3年)

私が参加したポスター発表のセッションでは、300枚にもおよぶポスターが同時に貼り出され、非常に規模の大きな学会という印象を受けました。内容としては公衆衛生分野を中心に、量的な報告が多かったように思います。
今回、私は共同研究G1/2(2017年度)、G2(2016年度)の成果をポスター形式で発表しました。発表内容としては、在宅介護を継続している事例と、施設に入居した事例を通して、在宅介護が継続できる要因について、個別事例のプロセスの詳細な分析から明らかにし、その成果を報告しました。
ポスター形式の発表は、参加者と発表者の距離も近く、研究について気軽に議論でき、非常に有意義な経験となりました。
具体的には以下のような意見をいただきました。「在宅介護が中断されずに継続されていくプロセスを明らかにできたことは大きな成果。これを今後どのように社会に還元していくか。40代くらいの人をターゲットに、事例やエピソードベースで情報発信できるとよいのでは」。
国際学会に発表することで、自分たちの研究意義を多角的な視点から認識できたことも、大きな成果であると感じています。今回の学会参加を通じた議論、得られたモチベーションを今後の研究活動に活かしていく所存です。


ポスター発表する須沢さん(写真左)

ポスター発表する須沢さん(写真左)