2018年5月25日

【共同研究4/5/6「高齢者のQOL向上のためのコミュニティ活動のファシリテーション」グループ】

      

【共同研究4/5/6「高齢者のQOL向上のためのコミュニティ活動のファシリテーション」グループ】

2017年度はG4/5にG6(高齢者の食の研究グループ)が合流した。G4/5/6として、従来の千葉県柏市豊四季台地区における活動に加えて、神奈川県鎌倉市大平山丸山地区を新たなフィールドとして、共同研究活動を進めた。
 1つ目のフィールドである千葉県柏市豊四季台地区では、住民主体のコミュニティ活動をテーマにして、住民運営の通いの場である「地域活動館(仮称)」の立ち上げに関わった。2018年2月の開館にあたり、まず、地域のグループ約30団体に、地域の課題や、活動のニーズに関する聞き取り調査を実施した。この意見をもとに、1週間、各団体が実際に活動するオープニングウィークを企画した。各団体が主催する企画に院生も参加し、シニア世代がどの活動に関心を持ち、お互いにどのような会話を行っているのか、日常的にどのような場に出かけ付き合いをしているのかについて参与観察や聞き取り調査を行った。
 調査を通じて、活動への参加者は、外出頻度やその興味・関心に応じて、幾つかの層に分けられるという仮説を立てるに至った。今後は、これらの各層に対しどのような働きかけが有効か、地域活動館の活動に参加することにより参加者のQoLがどの程度向上するのか、質的・量的な調査を実施していく予定である。また、住民主体の運営へと移行していくために、各団体による共同管理を行うためのマニュアルの整備や、恒常的な利用を促すためのサロン活動の担い手の発掘なども実施していく予定である。
 
院生による利用団体に対する利用説明会

院生による利用団体に対する利用説明会


2つ目のフィールドである、神奈川県鎌倉市大平山丸山地区では、地元の町内会と協力し、地区の将来計画の策定に携わった。事前に院生に対するファシリテーション研修を行った上で、2017年7月・11月と、2018年2月の3回にわたり、延べ100名以上の住民が参加するワークショップを開いた。
 第1回のワークショップでは、地図を用いた居住環境点検を実施し、地域資源や地域課題を可視化しつつ、住民がお互いに話し合うきっかけを作った。第2回のワークショップでは、地区の強みや弱み、将来の可能性を話し合うSWOT分析を行った上で、地区と自らの将来ビジョンを共有した。第3回では、テーマごとに、実現可能なアクションプランについて話し合いを行った。
 
大平山丸山町内会館にて、院生がファシリテーションを務める様子

大平山丸山町内会館にて、院生がファシリテーションを務める様子


以上のワークショップは、移動や買い物に関する潜在的な地域課題や、まだ活用されていない地域資源に関する住民の気付きを促し、地域活動の担い手であるという当事者意識を高めていく効果があった。今後は、アクションプランの実現に向けた支援を行う一方で、他の地域でも同様の手法を用いて、介入方法の妥当性を検証していく予定である。
 2018年度は、これら2地区での活動を継続し、超高齢社会に対応できる、住民主体のコミュニティづくりに関する共同研究を深めていく予定である。
(特任助教・荻野亮吾)