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プログラム担当教員から

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「人々はどう暮らしているのか?」という問いから始まる、より良い居住環境

 私は建築学の中の建築計画学という分野を専攻しております。実際の建築物や建築物が並び立つ地域を設計する際に、ぜひとも考慮に入れなければならない設計条件とは何か?ということを追究する学問です。建築設計には、100点満点の解答はありません。設計の対象が、目まぐるしく変化する人間および、人間の生活であるからです。4人の核家族世帯のための住宅の設計、と一口で言っても、10歳の小学生児は10年もたてば立派な青年になります。いつ3番目の子供ができるかわかりません。5年くらいたってお父さんが病気になってしまうかもしれません。こうした変化は誰しもが体験しそうなことですが、これをいちいち建築設計側で引き受けるのは、容易ではありません。しかしながら、子供部屋は子供が成人した時のことも考えておく、家族が増えたら増築できるようにもしておく、家族に怪我や病気であまり動けなくなった人が出てきても対応できるようなバリアフリー環境や間取りにしておく、などなど、人々の暮らしぶりの変わりようを見越した設計とすることも可能です。こうした設計を可能足らしめるには、「人々はどう暮らしているのか?」、そしてそれがどう変化しようとしているのか、を常に把握していることが必要です。と同時に、生活をとりまく科学技術、社会技術の進展による変化も目まぐるしいので、その変化も考慮しなければなりません。
どの分野を専攻していてもきっと、この「人々はどう暮らしているのか?」は常に追究しなくてはならない永遠のテーマです。そのために各学問分野では様々な方法論が開発されています。こうした意味で、GLAFSのカリキュラムは、己の専門だけでなく、他の専門分野の方法論をも学び、己を多角的に鍛え上げる、またとないチャンスだと思います。

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「食の力で健康寿命の延伸を」

 私の長年の専門は、コレステロール代謝調節の分子細胞生物学的解析です。そこから派生して、代謝調節を改善して健康維持に寄与する食品の研究を行っています。疾病を発症する前の未病状態を維持、持続するのは医薬の力ではなく、食と運動に依ります。健康寿命とは、日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる生存期間のことを指しますが、現在、男性では平均寿命との差は9年、女性のそれは12年とされています。この差を少しでも縮めることが、社会全体あるいは個人のレベルで望まれます。そしてこの差を縮めることに食の力は大きな貢献をする可能性を秘めています。高齢者にとって運動により健康寿命の延伸を図ることは困難を伴います。その時こそ、運動機能の一部を模倣するような機能を食品の成分に見出すことにより、これらを賢く活用して健康寿命の延伸へと結びつけることが考えられます。膨大化する医療費、増大の一途をたどる介護負担を考えたとき、日常的な食生活の中で食の力を有効に活用する試みは、今後益々重要性を増していきます。

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「高齢社会に対し学際的に立ち向かう(法学も入れて)」

 法学部で高齢者法という講義を始めました。たとえば、参加者には尊厳死法案を実際に読んでもらい改善すべき点を考えてもらいます。これまでの法学部の授業では、すでにある法律の解釈論が中心でした。この法案は、終末期医療を中止すると殺人罪になる「おそれがある」という法律家の主張に対応するものですが、実はこれまで中止だけで有罪になった例はありません。それよりも大事なのは、個人の希望・意思決定をいかにして確認するかです。これがなかなか難しくて、リビングウィルで有名なアメリカでも実際にはうまくいっていません。日本の世論調査でも、事前指示書には賛成だとしながら、実際に作成している人はごくわずかです。看護学や心理学から見ると、「自分にとって最も安らかな死の過程はどのようなものか」という話しにくいテーマについて、どうすると自分の考えを表明することができるでしょうか。それを法律的に支援する方策は? 心理的ハードルを下げ、意思決定の記録をすぐ確認できるよう情報工学からは何が提案できるでしょうか(ITの活用)。GLAFSは学際的な研究ができる場です。多彩な分野の学生の方に参加してほしいと願っています(法学政治学の人にも)。

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「いま求められているのは、実証的な政策研究」

 私の専門は社会学です。その中でも少子高齢化で代表される人口変動を社会階層論の立場から実証的に研究してきました。社会を構成する「ひと」、その人々が日常的な生活を営む場としての世帯について、社会階層論の立場から分析、議論しています。ここでのポイントは、「平等の中の不平等」にあります。豊かな人も貧しい人も、強靭な人も病弱な人も、1日は24時間ですし、1時間は60分と平等に配分されています。その一方で、刻一刻と加齢する中身は、人によって、住む国や時代によって違います。この「平等の中の不平等」の仕組みが、いまの超高齢社会・日本を形作っています。どんな親のもとに生まれて、どんな教育を受け、どんな仕事に就いたのか。どんな人と出会って結婚し、何人の子どもをどんなふうに育てるのか。これらがすべて、社会を成り立たせている諸制度や価値・規範と密接に関連しています。日本は急激な高齢化を経験した課題先進国です。いまだ前例のない超高齢社会に向けてどう舵取りしていくかを判断するにあたり、実証的な政策研究がいま強く求められています。既存の社会学の枠を超えて学際的な政策科学の分野を一緒に開拓していきましょう。

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