2019年10月21日

客員研究員・戴廉先生によるランチセミナーが開かれました

<客員研究員・戴廉先生によるランチセミナーが開かれました>



左側いちばん奥が戴廉さん

左側いちばん奥が戴廉さん

10月21日、中国Shulan Health Management Group副総裁である戴廉さんのランチセミナーが、ライブラリで開催されました。戴廉さんは、ジャーナリスト出身であり、医療政策の専門家として米国ジョンズ・ホプキンズ大学の博士課程にも在籍。この9月から国際交流基金のプログラムで来日し、日本の高齢社会について学ぶことを目的に、東京大学高齢社会総合研究機構に客員研究員として滞在しています。セミナーでは、世界最大の人口を抱え、高齢化が急速に進んでいる中国の高齢化の状況と課題について、広くお話をしていただきました。
コース生の感想

張俊華(医学系研究科社会医学専攻 博士1年)

戴廉さんの講演のテーマは“Challenges and Opportunities-How China Responses to Aging and How We Could Learn From Japan”。急速に高齢化が進み、“未富先老”(Aging Before Rich)中国で、14億人を支える社会保障政策やヘルスケア関連産業はどうなっているのか、私は個人的に一番関心を持ち、興味深くお話をお聞きしました。近年中国では著しい経済発展と共に、2020年の国民皆保険の実現に向けて、強制加入・任意加入の是非を問わず、すべての国民が加入できる制度の枠組みを整えてきました。高齢者介護問題については、国からの方針「民間資本の養老サービス産業への参加奨励」などが打ち出されて、各地方政府においては独自に様々な施策を展開しているのが現状です。一方で、需要を満たすほどの供需量がない上に、専門的な介護を提供するよりは家政婦と同様のサービスを行っており、質量共不足しているという課題が存在するようです。高齢化や所得など地域間、地域内(都市・農村間)で格差がまだ大きい状況下においては、中央政府/地方政府から制度の運営主体の財源もその影響を受けやすい状態にあるから、この過程で発生した制度間、地域間の受給格差の是正をどう考慮されているのか疑問に思いました。おそらく決まっている答えがなく、もっと掘り下げて勉強したいと思いました。良い機会でした。ありがとうございました。