2017年2月22日

ケア・システム実習型フィールド演習:対人ケア実習リポート_2016

<ケア・システム実習型フィールド演習:対人ケア実習リポート>

前年に引き続き、実践的課題解決能力を養うために、診療・介護・看護を受けながら地域で生活する高齢者の実態や、高齢者の生活を支える診療・介護・看護の実際を把握するため、実習型のフィールド演習を行った。実習前に多専攻のコース生がグループとなって、各自目標を設定し、施設の見学、訪問診療・訪問看護に同行。スケジュールは下記のとおりである(介護は全コース生参加。訪問診療と訪問看護は希望者のみ)。
実習先と日程
2016年11月
小規模多機能型居宅介護など
9:00〜12:00 事業所の概要説明と見学
12:00〜13:00 昼食
13:00〜16:00 利用者宅に訪問(移動中に地域を散策)
16:00〜17:00 目標達成の振り返りと質疑応答
地域密着型介護老人福祉施設、小規模多機能型居宅介護など
10:00〜11:00 法人の概要の説明
11:00〜12:00 A施設の見学
12:00〜13:00 昼食
13:00〜15:00 B・C施設の見学
15:00〜16:00 目標達成の振り返りと質疑応答
2017年1・2月
訪問看護、 看護小規模多機能型居宅介護
9:00〜10:30 事業所の概要と訪問利用者の説明
10:30〜12:30 D利用者宅に訪問同行
12:30〜13:30 昼休み
13:30〜15:30 看護小規模多機能型居宅介護を見学
15:30〜17:00 目標達成の振り返りと質疑応答
訪問診療
13:00〜16:00 患者宅に訪問同行(数件)
16:00〜17:00 目標達成の振り返りと質問応答
地域密着型特別養護老人ホーム、小規模多機能型居宅介護など
9:30〜10:00 E施設の見学
10:00〜11:30 法人の概要の説明
11:30〜13:00 昼食と移動
13:00〜15:00 F施設の見学
15:00〜16:00 目標達成の振り返りと質疑応答
参加したコース生の感想

高田遼介 工学系研究科建築学専攻修士課程1年

対人ケア実習に臨む前、建築的施設基準などについて少し勉強しましたが、学問として蓄積していかなけ
ればならないことはたくさんあるなと実感しました。廊下幅や居室面積といった「測れる」ルールばかりを決めていくのではなく、そこに住む人にとってどのような環境であることがふさわしいのかという視点
がどんどん盛り込まれていくべきだと思います。これは建築の専門家だけではおそらく作ることが出来ないと思うのでその他のバックグラウンドの方々との協力をしていける人間が必要だと感じました。
また、基準はその通りにすればいいというものではなく、場所、場面に応じて少しずつ変更していくことが重要であり、そういったことを現場を見ながらできる人間になりたいと強く感じました

Unyaporn Suthutvoravut 医学系研究科老年医学専攻博士課程1年

I think working as a group service is incredibly useful if we would like to make the 24-hour
service since only one doctor could not run this. I think in the future home visit care is going to be very important job for doctors but now it is still not the object of interest
for young doctors since doctors always think of working at a hospital not in the home visit setting. Home visit care also requires a lot of skill such as physical examination,
decision making and, in this case, technology is going to help evaluation of the patients at home more conveniently and precisely.

北村智美 医学系研究科健康科学・看護学専攻修士課程1年

今回あえてグループ研究であるロボットによる支援のことも考えながら見学をすることで、訪問看護師
はロボットのない今ある環境の中で様々な工夫をしていることが分かった。例えば、私の訪問した利用者さんは、下肢は痺れと疼痛により動かすことが困難であったが、上肢は自由に動かすことができる方
であった。そのような環境の中、ベッド上で出来る限り自立して生活ができるように、ベッドの配置を変えたり、手の届く位置に薬や家具を置いたりと生活ニーズやその人の持つ力に応じた工夫をしていた。
色々な疾患を抱えた高齢者が自宅でなるべく安楽で過ごし続けるために必要なことを考えるためにも、まずは現状でどのような工夫を行なっているかを把握していく必要があると感じた。
futter_students

<ケア・システム実習型フィールド演習:対人ケア実習リポート>

GLAFSでは実践的課題解決能力を養うために、診療・介護・看護を受けながら地域で生活する高齢者の実態や、診療・介護・看護といった多職種の実際を把握するため、ケア・システム実習型のフィールド演習を行っています。高齢者ケアセンターなどの施設を見学するだけでなく、訪問診療・訪問看護に同行します。2015年度の実習は、多専攻のコース生がグループとなって、各自が参加する目標を設定し、下記のとおり行われました。(介護は全コース生参加、訪問診療と訪問看護は希望者のみ参加)
実習先と日程
2015年11月
小規模多機能型居宅介護など
9:00〜12:00 事業所の概要説明と見学
12:00〜13:00 昼食
13:00〜16:00 利用者宅に訪問(移動中に地域を散策)
16:00〜17:00 目標達成の振り返りと質疑応答
地域密着型介護老人福祉施設、小規模多機能型居宅介護など
10:00〜11:00 法人の概要の説明
11:00〜12:00 A施設の見学
12:00〜13:00 昼食
13:00〜15:00 B・C施設の見学
15:00〜16:00 目標達成の振り返りと質疑応答
2016年1月
訪問看護、 看護小規模多機能型居宅介護
9:00〜10:30 事業所の概要と訪問利用者の説明
10:30〜12:30 D利用者宅に訪問同行
12:30〜13:30 昼休み
13:30〜15:30 E利用者宅に訪問同行/看護小規模多機能型居宅介護を見学
15:30〜17:00 目標達成の振り返りと質疑応答
訪問診療
13:00〜16:00 患者宅に訪問同行(5 件程度)
16:00〜17:00 目標達成の振り返りと質問応答
2016年2月
地域密着型特別養護老人ホーム、小規模多機能型居宅介護など
9:30〜10:00 F施設の見学
10:00〜11:30 法人の概要の説明
11:30〜13:00 昼食と移動
13:00〜15:00 G施設の見学
15:00〜16:00 目標達成の振り返りと質疑応答
参加したコース生の感想

角川由香 医学系研究科健康科学・看護学専攻修士課程1年

今回私たちは、新潟県長岡市で地域に密着した高齢者サービスに先駆的に取り組んでいる事業体を訪問しました。私たちGLAFSの学生は、超高齢社会を支えるシステムのひとつとして、地域包括ケアに関する学習をこれまで行ってきました。今回はその学びを踏まえ、高齢者を支える生活支援・介護・医療などについて、実際の現場に出向き、より現実的な地域包括ケアシステム構築に向けた示唆を得ることを目的としています。実際に見学に出かけた学生は、それぞれの専門分野の立場から、高齢者に対するケアの現場を知り、そして今後の展望を学びとってきました。多領域の学生がともに実際の現場を把握することで、多様な立場から高齢者ケアについてディスカッションできたことが大きな学びとなりました。さらに、自分が安心できる場所で、人生の最期まで穏やかに住み続けられる社会の構築に向けて、高齢者それぞれにパーソナライズされたケア提供のあり方を模索していく必要性を感じ取ってきました。

石井絢子 医学系研究科健康科学・看護学専攻修士課程1年

訪問看護実習には、分野横断的に計11名の希望した学生が3日間に分かれて参加しました。各日2名ずつの訪問に同行し、医療処置を必要とする方の在宅での療養について見学しました。訪問看護とは、医療処置だけでなく、社会面・心理面・家族など利用者の方を取り巻く多様な視点でのアセスメントが必要となります。この点において、今回参加学生の専門分野が様々であることは強みでした。私は看護師資格を有しており、最初に対象とするのは“ヒト”になります。一方で、建築系は建物、情報理工や工学系などは医療機器など同じ場でも着目する対象の視点が異なりました。各々の視点から、訪問看護や在宅医療における疑問点や課題を抽出し、実習最後のカンファレンスで共有し討議を行いました。今回、私の専門分野であるため、実習リーダーを行いました。専門外の学生に対する説明や取りまとめを行ううえで、分野が異なるとリーダーシップも異なることも学び、単に実習だけでなくリーダーシップの在り方などを学ぶ貴重な経験となりました。

後藤大地 医学系研究科健康科学・看護学専攻博士課程1年

対人ケア実習プログラムの一環である訪問診療実習にリーダーとして参加する機会を得ました。メンバーの中には訪問診療で活躍するICT機器やロボット利用の可能性を探りたい工学系の学生や、自国における訪問診療等、地域医療システムの現状との比較を通して学びを深めたい中国人留学生などもおり、普段では決して生まれない、大変興味深いディスカッションが行われました。一方で私自身としては、共通言語を持たない者同士のやり取りをスムースにファシリテートするため、また他分野の学生が慣れない在宅医療の現場で最大限の学びを得るために、私達医療系の学生には何ができるのかという点に思考を向け、かつて行った看護学部での実習とはひと味もふた味も違った困難さや学びを経験することが出来ました。実習後には、私も含め良い意味で未知でセンセーショナルな経験をした学生が多く、超高齢社会に今後どのように貢献するかという各人のアイディアを、より深く、より鮮明に具現化することが出来た実習になったと感じました。
taijin2015 実習の様子
futter_students