2016年3月28日

ケア・システム実習型フィールド演習:対人ケア実習リポート

<ケア・システム実習型フィールド演習:対人ケア実習リポート>

GLAFSでは実践的課題解決能力を養うために、診療・介護・看護を受けながら地域で生活する高齢者の実態や、診療・介護・看護といった多職種の実際を把握するため、ケア・システム実習型のフィールド演習を行っています。高齢者ケアセンターなどの施設を見学するだけでなく、訪問診療・訪問看護に同行します。2015年度の実習は、多専攻のコース生がグループとなって、各自が参加する目標を設定し、下記のとおり行われました。(介護は全コース生参加、訪問診療と訪問看護は希望者のみ参加)
実習先と日程
2015年11月
小規模多機能型居宅介護など
9:00〜12:00 事業所の概要説明と見学
12:00〜13:00 昼食
13:00〜16:00 利用者宅に訪問(移動中に地域を散策)
16:00〜17:00 目標達成の振り返りと質疑応答
地域密着型介護老人福祉施設、小規模多機能型居宅介護など
10:00〜11:00 法人の概要の説明
11:00〜12:00 A施設の見学
12:00〜13:00 昼食
13:00〜15:00 B・C施設の見学
15:00〜16:00 目標達成の振り返りと質疑応答
2016年1月
訪問看護、 看護小規模多機能型居宅介護
9:00〜10:30 事業所の概要と訪問利用者の説明
10:30〜12:30 D利用者宅に訪問同行
12:30〜13:30 昼休み
13:30〜15:30 E利用者宅に訪問同行/看護小規模多機能型居宅介護を見学
15:30〜17:00 目標達成の振り返りと質疑応答
訪問診療
13:00〜16:00 患者宅に訪問同行(5 件程度)
16:00〜17:00 目標達成の振り返りと質問応答
2016年2月
地域密着型特別養護老人ホーム、小規模多機能型居宅介護など
9:30〜10:00 F施設の見学
10:00〜11:30 法人の概要の説明
11:30〜13:00 昼食と移動
13:00〜15:00 G施設の見学
15:00〜16:00 目標達成の振り返りと質疑応答
参加したコース生の感想

角川由香 医学系研究科健康科学・看護学専攻修士課程1年

今回私たちは、新潟県長岡市で地域に密着した高齢者サービスに先駆的に取り組んでいる事業体を訪問しました。私たちGLAFSの学生は、超高齢社会を支えるシステムのひとつとして、地域包括ケアに関する学習をこれまで行ってきました。今回はその学びを踏まえ、高齢者を支える生活支援・介護・医療などについて、実際の現場に出向き、より現実的な地域包括ケアシステム構築に向けた示唆を得ることを目的としています。実際に見学に出かけた学生は、それぞれの専門分野の立場から、高齢者に対するケアの現場を知り、そして今後の展望を学びとってきました。多領域の学生がともに実際の現場を把握することで、多様な立場から高齢者ケアについてディスカッションできたことが大きな学びとなりました。さらに、自分が安心できる場所で、人生の最期まで穏やかに住み続けられる社会の構築に向けて、高齢者それぞれにパーソナライズされたケア提供のあり方を模索していく必要性を感じ取ってきました。

石井絢子 医学系研究科健康科学・看護学専攻修士課程1年

訪問看護実習には、分野横断的に計11名の希望した学生が3日間に分かれて参加しました。各日2名ずつの訪問に同行し、医療処置を必要とする方の在宅での療養について見学しました。訪問看護とは、医療処置だけでなく、社会面・心理面・家族など利用者の方を取り巻く多様な視点でのアセスメントが必要となります。この点において、今回参加学生の専門分野が様々であることは強みでした。私は看護師資格を有しており、最初に対象とするのは“ヒト”になります。一方で、建築系は建物、情報理工や工学系などは医療機器など同じ場でも着目する対象の視点が異なりました。各々の視点から、訪問看護や在宅医療における疑問点や課題を抽出し、実習最後のカンファレンスで共有し討議を行いました。今回、私の専門分野であるため、実習リーダーを行いました。専門外の学生に対する説明や取りまとめを行ううえで、分野が異なるとリーダーシップも異なることも学び、単に実習だけでなくリーダーシップの在り方などを学ぶ貴重な経験となりました。

後藤大地 医学系研究科健康科学・看護学専攻博士課程1年

対人ケア実習プログラムの一環である訪問診療実習にリーダーとして参加する機会を得ました。メンバーの中には訪問診療で活躍するICT機器やロボット利用の可能性を探りたい工学系の学生や、自国における訪問診療等、地域医療システムの現状との比較を通して学びを深めたい中国人留学生などもおり、普段では決して生まれない、大変興味深いディスカッションが行われました。一方で私自身としては、共通言語を持たない者同士のやり取りをスムースにファシリテートするため、また他分野の学生が慣れない在宅医療の現場で最大限の学びを得るために、私達医療系の学生には何ができるのかという点に思考を向け、かつて行った看護学部での実習とはひと味もふた味も違った困難さや学びを経験することが出来ました。実習後には、私も含め良い意味で未知でセンセーショナルな経験をした学生が多く、超高齢社会に今後どのように貢献するかという各人のアイディアを、より深く、より鮮明に具現化することが出来た実習になったと感じました。
taijin2015 実習の様子
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